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2013.04.09

製造指示の設計と実装 (3)外作

 夏が近づくと清涼飲料水のメーカーは、ふだんは社内で生産している製品や原料を外注メーカーから購入する。企業内の生産能力だけでは盛夏の需要をまかなえないからだ。季節変動や日常の撹乱に対する備えとして、外注メーカーは大事な取引先である。そこからモノを購入するだけでなく、一部の工程作業を委託することもある。それが今回のテーマである「外作」だ。

 これまでの復習を兼ねて、製造指示まわりのデータモデルを再確認しておこう(図1)。前回までに示したモデルよりもさらに複雑に見えるが、それは製造活動にともなう残高更新の元ネタとなる受払実績、売上実績、仕入実績等が省略されずにすべて置かれているためだ。

図120130407_1

 製造活動の過程で材料在庫や製品在庫の入出庫(受払)が起こるのはわかるし、一部の工程を外注先でまかなうのであれば外注加工費の「仕入」が起こるのもわかる。ではなぜ「売上」までが起こるのだろう。それは、ある種の材料を外注先に「有償支給」することがあるためだ。ことほどさように、製造指示まわりにはこれほど多彩な取引が関係している。「生産管理システムの要諦は部品表と製造指示にあり」と言われるのはそういう事情からだ。

 一部の工程を外作でまかなうためには、材料や仕掛品を外注先に渡す必要がある(支給を伴わないのであれば、外作ではなく単なる購入である)。多くの場合それらは「無償支給」される。ところが、ロスの多い工程であるなどの事情から、材料をあえて有償で渡したほうがいいと判断されることがある。こういう材料を出庫して外注先に渡す際に「材料の有償支給にもとづく売上」が計上される。

 「材料の有償支給にもとづく売上」が材料の出庫時に計上される点に注意してほしい。有償支給された材料は、その時点で自社の在庫高から引き落とされる。このときに仕掛品勘定等に振り替えるのではなく「売上計上」することで、返品や月をまたがる外作指示への対応などの動きに対処しやすくなる。いっぽう外注加工費については月末に検収分をまとめて仕入計上して、買掛額からその時点での有償支給分の売掛額を相殺する、という手順を踏めばよい。

 図1上の「外作仕入見出し」は月末にまとめて仕入計上するための管理簿なのだが、これを処理するためのアプリを見よう(図2)。製造指示工程明細の中で外注単価が設定されているものを一覧し、処理対象のものを選択して「次へ」のボタンを押す。すると、同一の外注先向けのデータが外作仕入見出しレコードのもとにまとめられる。ややこしそうに見えるがこのアプリの仕様は、「業務システム向けのデザインパターン」の記事で説明した「バッチレコード処理」のデザインパターンに分類される。パターンとしてあらかじめ関数化しておくことで、簡単に実装できる。

図220130407_2

 外注加工費のもとになる外注単価は、ユーザが製造指示工程明細上の完成数量を報告した時点(第2回の図3②)で自動設定される。いっぽう、材料の有償支給のもとになる支給単価も、ユーザが出庫数量を報告した時点(第2回の図2)で自動設定される。これらの単価は事前に契約単価として決まっている。参考までに、後者の契約単価を登録しておくための帳簿組織を見ておこう(図3)。これは、顧客に対する販売契約単価を登録しておくための管理簿に他ならない。外注加工費を登録するための帳簿組織も似たような形をとる。

図320130407_3

 この管理簿に支給材料の契約売上単価を登録して、さらに作業区を外注先として設定しておく。こうして、製造指示において外注先向けに支給される材料が存在すれば、システムは自動的に材料支給売上を計上する。ユーザが事実にもとづいてモノの動きを報告するだけで、必要な会計処理が事前の契約にもとづいて裏側で淡々となされる。

 以上、製造指示まわりを3回にわたって説明した。この部分だけ取り上げても想像以上にさまざまな要素が関わっていることがわかってもらえただろう。ぜひ実物を使って、全体のモデルや実際のアプリの動きを確認してほしい。夏頃には、世界初の「生産管理システムのモデルハウス」として完成する予定だ。

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