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2013.01.07

各種技法の「競演モデリングライブ」を

 年末のテレビ番組で、辛口解説でおなじみの北の富士親方が力説していた。「よく知った部屋の相手とばっかりじゃ練習にならない。他の部屋に出向いたほうがいい。本番で勝つには他流試合をもっとやらなきゃダメなんだ」。違いないと思いながらも、私は自分の仕事について考え込んでしまった。

 システム開発の世界には、設計・開発技法の「流派」のようなものがある。そのこと自体は悪いことではない。いろんなやり方があることで、問題に対する検討の視野も広がろう。

 残念なのは、まさに技法間の「他流試合」みたいな機会がほとんどないところだ。技法の推進者が別の技法の有効性を論難することはあっても、同一事案をネタにして公開形式で比較検討するようなことをしない。技法のコミュニティが活発だとしても、顔なじみ同士が「我らのイカしたやり方」を讃えあうばかりで、他のコミュニティにひとり出向いて技を披露するようなことをしない。北の富士親方が知ったら黙っていないだろう。

 ごく部分的な比較はされている。たとえば以前にDOA+の分科会で、私がまとめた「CONCEPTWARE/販売管理」のER図を、他の形式のER図やクラス図に置き換えてみたことがある。それはそれで有意義ではあったが、一方的であったのが残念だった。つまり私としては他の技法でまとめられたモデルを、自分が提唱する技法(三要素分析法)で翻案してみたかったのだが、そういうものは用意されていなかった。

 まあそれもしかたないことではある。なにしろ技法は数あれど、不思議なことに各技法でまとめられたレファレンスモデルがまるで公開されていない。「図書館蔵書管理システム」等の単純なモデルはいくつか探し出せるが、販売管理システムや生産管理システムといったオーソドックスな業務システムの完結したレファレンスモデルがまるでない。単純なモデリング課題ではどんなやり方でもうまくいくだろうから、ある程度複雑な課題でないと比較検討にならない。

 また、ER図だけを他の表記法に置き換えるという上述の試みも、私には本望ではなかった。起点になったER図は私の言う「業務システムの3つの定義要素」の一部でしかない。それだけを取り出して云々されてもしょうがない。

 どういうことか。三要素分析法は、私なりの「システム観」にもとづくものだ。この体系によって、業務システムの構造を大づかみ出来るようになっている。つまり、この技法はただの「表記法の寄せ集め」ではなく、さまざまな図面が「対象理解や問題発見のためのスキーマ」を構成している。

 この技法だけでなく、まともな「表記法の寄せ集め」であれば、おのずと統合的な認識の枠組みが立ち上がるものだ。ゆえに、出来合いのモデルの一部を取り出して他の表記法に置き換えるだけでは、技法が発揮すべき「認識の枠組みの動的効果」を比較できない。それでは面白くない。

 各技法にそういった特長があるはずで、そこらへんの違いを手っ取り早く理解するためには、同一のシステム要件をネタにして同時にモデリングしてみればいい。「他流試合」というよりは、もっとリラックスした「競演」みたいな感じがいい。それぞれの技法においてモデリングがどのように進行するかを比較検討する。ある程度実装するところまでやっても楽しいだろう。技法の特性上の違いがわかるだけでなく、それぞれの技法の中で育まれたノウハウの移転も期待できそうだ。

 「競演」できる技法としては、DOA系やDDDや要求開発やアジャイル系の諸技法等、いまや枚挙にいとまがない。去年は単独でのモデリングライブをやったので、今年は各技法の実践者と「競演モデリングライブ」をやってみたい。これが年頭に考えた抱負である。各技法を実務レベルで使いこなしている技術者や推進者の方々、いっしょに企画しましょう。

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コメント

>今年は各技法の実践者と「競演モデリングライブ」をやってみたい
いいですね!
応援します!

投稿: czhong | 2013.01.08 17:39

ありがとうございます。何かの技法系のコミュニティや勉強会に縁がおありなら、渡辺がこんなことをぬかしていたとお伝えてくださいませ~

投稿: わたなべ | 2013.01.08 22:09

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