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2012.05.28

VPSでクラウド基幹システムを作ってみた

 商用のVPS(仮想専用サーバ)にXEAD Driverを導入した。Linux(CentOS)を触るのは初めてだったので、友人やテクニカルサポートに助けられながらの作業だった。こんなに面倒なものとは思わなかったが、OSの再インストールから何度も繰り返すうちに俄然面白くなった。おかげさまで、アプリサーバ用(Tomcat)とDB用(MySQL)の2つのサーバが連係しつつ、卸売業向け販売管理システムが機嫌よく動いている。

 月千円程度で高性能な専用サーバを使える――そんなコストパフォーマンスの良さで人気のVPSだが、サービス内容はプロバイダ毎にけっこう違っている。OSだけのスッピン状態からユーザ自身が必要なソフトウエアをインストールするIaaSタイプから、JavaやApacheやDBといった基本的な組み合わせを選べるPaaSタイプまで幅がある。必要がなくなったらサーバインスタンスを削除するだけで課金が直ちに止まったりもするので、それらの要素の「クラウド提供」が確かに実現されている。

 とはいうものの、私の専門である「基幹システム」のクラウド提供が実現されているわけではない。せいぜい「基幹システムの開発・実行環境」がクラウド提供されてはいる。しかしそれだけならたいした進展とは言い難い。基幹システムというものは、その「設計・開発・保守」の過程こそがやっかいだからだ。そこらへんが代わり映えしないのであれば、「クラウド」なんてバズワードでしかない。

 そこで、「実行可能な仕様書」を実現した開発用プラットフォームXEAD Driverの出番だ。ApacheやMySQL同様にOSSだし、この上で稼動する販売管理システムやその基本設計書(データモデルや業務マニュアル)がバンドルされている。これらと組み合わせることで、VPSは「意義深いクラウド基幹システム」となる。

 その使い方はこうだ。VPSを契約したら、まず一定の手順でXEAD Driverと販売管理システムをアプリサーバに配備する(PaaSとして提供されていれば配備の手間さえ要らない)。続いてエンドユーザが、ブラウザ上の規定リンクをクリックする。これでUI処理用の汎用モジュールがクライアント側にキャッシュされ、その場でシステムがRIA(Rich Internet Applications)として立ち上がる(図)。

Xeaddriver_sysconfig

 これを叩き台として使ってもらって、カスタマイズ要望を分析・集約する。その結果にもとづいて、専用エディタでアプリサーバ上の仕様書を編集――すなわち「仕様変更」する。これだけで、コードの再生成さえ伴わずにシステムのふるまいが変わる。htmlだのcssだのxmlだのをちまちま書く必要はない。稚拙なデータモデルに悩まされることも、Excel方眼紙にイライラさせられることもない。

 かくして、モデルシステムに最小限度のカスタマイズを施すだけで、個々の事情に応じた販売管理システムが手に入る。今後、生産管理をはじめとしたさまざまな業種別モデルシステムが公開される。これらがPaaSとして提供されるようになれば、開発案件がコンパクトになって少数精鋭の技術者でまかなえるようになる。使い始めるためのコストもカスタマイズのコストも圧倒的に小さい。

 結果的に、ユーザ企業での内製の裁量も広がるし、開発・運用コストの高さゆえにこれまで導入をあきらめていた企業も基幹システムを活用できるようになる。ひっそりとだが、大きな変化がすでに始まっている。

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コメント

仕様変更までを試してみたい場合は、VPSや公開自社ホスト上やlocal自社環境でのXEAD Driverのインストール構築が必要だけど、既定仕様ならURLが公開されればXEAD Driverのインストールなしに、直ぐにユーザーとしてXAED販売管理システムのデモサイトの体験ができるんですね!? 私はCent OS派でないので、Windows上に作って公開に挑戦するのもあり?ですね。

投稿: 伊藤秀樹 | 2012.05.29 12:27

伊藤さん

言われるとおりです。Windowsサーバでの公開もぜんぜんありです。ただし、誰もがログインできる形での公開は避けたほうがいいでしょうね。データベースの更新が出来てしまうので荒らされる恐れがありますから。少なくとも、ログインパスワードをこまめに変更しながら、閉じたコミュニティや客先にだけURLやパスワードを伝えるなどの配慮はしたほうがいいと思います。

投稿: わたなべ | 2012.05.29 20:49

そうですね。完成度が抜群に高いので運用も考慮する必要がありますね。ありがとうございます。そうします。

さらなる運用強化として
・XEAD Driver インストール済みのOSイメージテンプレートからのプロニジョニング
・無人インストール
・powershell
なども使って"DBの異常監視してDBを自動復旧させる"というのにも挑戦してみようかなと思っています。

何か適応できるコンテストがあれば、それにあわせて、手順キャプチャを含めて公開する予定です。
一般的になった?ストリーミングビデオにも早く挑戦しないと!

投稿: 伊藤秀樹 | 2012.05.30 08:53

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