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2009.03.23

設計者がひとりで実装できる時代に

 イケてるフレームワークを用いることで、従来の「案件従属なプログラミング工程」は「詳細設計工程」に吸収される。そういう話を前の記事で書いたが、そのフレームワークは「詳細設計書だけでシステムを動かす」ための基盤である。

 詳細設計書を書くだけでシステムが動く――マジックみたいに思われるかもしれないが、それほど難しいことではない(そういうフレームワークを作っている本人が言うのだから間違いない)。「上流工程入門」で説明したように、データベースの部分構造とそこに対する処理様式の組み合わせにもとづく「機能パターン」を想定し、それら毎の処理プログラムを用意すればよい。

 ではそのようなフレームワークを用いた場合、案件の実装工程(すなわち、プログラミングを吸収合併した後の詳細設計工程のこと)を担当するのはいったいどんな人物なのだろう。

 少なくとも、従来の「案件従属なプログラミング工程」を担当していた要員が引き継ぐとは考えにくい。なぜなら、その工程にはプログラミング技術は基本的に要らないいっぽう、基本設計を詳細化するための技術が必要だからだ。では、詳細設計の技術がありさえすれば担当できるのだろうか。おそらく、そういうことにもならない。

 開発者には、詳細設計の技術だけでなく、その先行工程である「基本設計」の技術までが求められるようになるだろう。なぜなら、基本設計者が実装までをになうことで、開発プロジェクトのコスト構造がようやく適正化されるからだ。

 もし実装工程を基本設計者以外の担当者にまかせたら、基本設計情報の申し送りをしなければならない。ところが、上述のフレームワークを利用する場合、申し送りコストが実装コストに比して相対的に大きい。そして、いかに基本設計書がわかりやすくまとめられていたとしても、アーキテクチャがすっぽり頭に入っている設計者が詳細設計(=実装)したほうがはるかに効率がいい。また、設計したシステムを自分で実装したいと望むのが技術者の人情でもある。だから、あらたに第三者に申し送るよりは自分で詳細設計(=実装)したほうが早い、と判断されやすくなる。

 ようするに、実装過程が効率化されるというのは、設計者自身で実装できる余地が増えるということなのだ。前の記事で、実装技術の発展にともなって分業が解消されてゆくようすを眺めたが、実装工程が「詳細設計だけ」になれば、もはや上流工程との分業にこだわる理由はない。

 ただし、分業が解消されても、基本設計と詳細設計とが工程として融合できると期待すべきではない。データモデルと機能モデルと業務モデル(業務マニュアルのこと)が記載される基本設計書は「ユーザと設計者が理解できればよい文書」である。いっぽう、詳細設計書は「コンピュータと設計者が理解できればよい文書」である。両者は似て非なるもので、同時に作ろうとすればまとまるものもまとまらない。

 いずれにせよ、「イケてるフレームワーク」を用いることで、ごく少数の設計者だけでシステム開発の全工程がまかなわれるケースが増えるだろう。設計するためには専門性や職業適性を持つ技術者が必要だ。しかし、いったん設計情報がまとまれば、その内容にもとづいてシステムを動かすことについてはコンピュータにまかせてしまえる。その結果、ある種のプログラミング作業が不要になるが、それはまさにプログラミング技術の発展がもたらす結果のひとつである。

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コメント

こんにちわ。よいフレームワークやよいサンプル実装があれば、ほとんどの共通的な機能はそれに任せて、ビジネス固有のロジックの実装だけに専念できるという意味では全く同感です。
現在、サンプル実装(フレームワーク?)を開発中とお聞きしていますが、いつころのリリース予定でしょうか?
楽しみに待っています。がんばってください。
#もしテスタを募集されるようであれば、是非立候補したく思いますので、お知らせ下さい。

投稿: 74 | 2009.03.31 16:26

74さん、応援ありがとうございます。励みになります。4月か5月に内覧会を開いて意見を収集し、その1ヶ月後くらいに公開したいと考えています。テスタ募集ってのもいいアイデアですね。考えときます(^^)

投稿: わたなべ | 2009.03.31 19:41

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