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2008.11.27

「国民健康保険」のデータモデル

 「CONCEPTWARE/自治体」のバージョン0.1.0を公開した。20個あるサブシステムのうちの9個について機能定義が未登録なので「ベータ版以前」と言うべき段階である。しかし、全体のデータモデルが出来上がっているので、大枠は理解してもらえるだろう。今回はその膨大な定義要素の中から「国民健康保険」のモデルを紹介しよう。

 「国民健康保険」は、自治体が住民から保険料を集めて、住民の診療費用のかなりの部分を補償するしくみである。「国民」と名がついているので国が運営していると思われがちだが、国は多少の補助金を出すくらいで、基本的には各自治体が個々に運営している(「自治体健康保険」とか「地域健康保険」などと呼んだほうがわかりやすいと思うのだが)。

 このしくみが持続するには、健康人が病人よりも相当多くなければいけない。ゆえに、住民の高齢化が進む状況ではいろいろと無理が生じる。じっさい、たいていの自治体では医療費の激増ゆえの莫大な赤字に頭をかかえていて、一般会計から補填してしのいでいるのが現状だ。このままでは本人負担率か保険料をさらに上げざるを得ないだろう。かつて負担率が1割だったのが3割に増えたが、それでも国民健康保険の保険料は泣けてくるほど高い。

 なんて愚痴はさておき、データモデル(図1)を見よう。「住民国保属性」は「住民基本属性」に対するサブタイプで、扶養や特別徴収(保険料の年金天引)といった国保加入にともなう管理情報が保持される。「自治体別被保険者属性」は、その識別子が{住民id,自治体C}であることからわかるように、住民と自治体の組み合わせで決まる諸問題が保持される。それを年度別に展開したものが「年次国民健康保険SUM」で、納付保険料情報(「住民取引明細」)や保健診療実績情報の参照先となっている。

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 なお、「住民取引明細」は住民と自治体との入出金を一元的に管理する帳簿で、図2を見ればわかるように、さまざまな管理簿を選択的に参照先としている。販売管理システムにおける売上、仕入、受払のモデリングパターンだ。

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 ちなみに図1の「保健診療実績」は、もともとは「国民健保データ管理サブシステム」に含まれていたのだが、設計の過程で「保険診療データ管理サブシステム」というモジュールにあらたに切り出された経緯がある。なぜかというと、「保健診療実績」が国民健康保険だけでなく、図3のように老人福祉、障害者福祉、児童福祉といった多様な受診資格にもとづいて処理されることに気づいたためだ。

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 こういったサブシステム構成の変化は、モデリング過程で頻繁に起こる。それほどに、データモデルのあり方はサブシステム構成にも深く関係している。何度も言うように、サブシステムとは、「このままじゃデカすぎるから、いくつかのブロックに分けて管理しよう」などという「気分」で切り出されるものではない。サブシステム構成は、システムの可読性と保守性に重大な影響を与える。そして、使いやすいサブシステム構成を洞察するためには、データ構造の検討は省けない。

 自治体の財政状況は悪化するばかりだ。ITは、自治体の行政コストを下げ、税や保険料の滞納を減らし、住民に対するサービスを向上させる、といった役割を果たすと私は信じている。「CONCEPTWARE/自治体」がその一翼をになうことになれば、作者として僥倖である。

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