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2007.04.07

「コピペでシステム設計」の功罪

 当初は「XEADインテグレータ」として独立したツールとして構想していた機能だが、けっきょくインポート機能としてXEADに組み込んでいる(下の図はファイルメニューから表示されるインポート用ダイアログ)。これをテストしながらいろいろと思うところがある。この機能を使えば、既存のシステム設計情報の一部を取り込みながら新たなシステム定義を作りやすくなる。つまり「コピペでのお手軽なシステム設計」ができちゃいそうなのだ。これはこれで便利な反面、危うさも予想できる。

Image070407

 以前読んだ本に、ある自動車関係のエンジニアが印象的なことを書いていた。エンジン系のある部品の図面をたまたま目にして、そのなんとも不自然な形状が気になって調べてみたそうだ。けっきょくその設計は、既存のCADデータを一部コピペして強引にまとめたものであることがわかったという。

 その部分はたまたまクリティカルな部分ではなかったようだが、場合によっては事故につながりかねない。いかに設計作業がコンピュータに支援されることになっても、つまり「コピペ」できるようになっても、設計者は貼り付けられた要素を新しい文脈に整合させることを怠ってはいけない。それができないくらいなら、安易にコピペなんてすべきではない。そんな話だった。

 XEADのようなツールを用いれば、システム設計情報の編集過程でのコピペ操作が容易になる。しかし、上記の話と同様、コピペされた要素を全体に整合させる過程は「難しいのがあたりまえのプロの仕事」である。コピペして終わりなんて単純なケースがあるにしても限定的で、支援ツールがいかに充実しようともシステム設計の難しさは変わらない。

 そもそも、システム設計でいちばん難しいのは、生身のユーザーの思いや現状から適切な要件や仕様を引き出すことだ。それに比べたら、システム設計をまとめるいことなんてたいした仕事ではない(設計情報がいかに複雑膨大な要素を含み、それをわかりやすくまとめること自体がいかに高度であるとしてもだ)。けっきょく、「コピペでのお手軽なシステム設計」なんて夢物語なのである。

 とはいうものの、プロの設計者を擁する組織にとって、XEADのような専用ツールを用いることで長期的な設計効率は確実に向上する。設計情報が再利用しやすい形で蓄積されてゆくからだ。経験者なら理解できているだろうが、いくら膨大な設計事例があってもエクセルやワードの形で保持されているのであれば再利用は難しい。専用ツールを用いて様式化された設計情報ライブラリがあれば、コピペも駆使しながら手早く設計情報をまとめたり再利用できる。CONCEPTWAREなども利用しつつ、開発企業はどんどん自分たちの設計ライブラリを整備していってほしい。また、その一部を公開する形で、知的社会資本の充実に貢献してほしいとも願っている。

 インポート機能を組み込んだXEADの新バージョンは近日公開予定である。乞うご期待。

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