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2006.10.28

販売管理向けのレファレンスモデルを公開

 販売管理システム向けレファレンスモデル「CONCEPTWARE/販売管理」を公開した。国内外から商品を仕入れ、国内の顧客に売るという一般的な専門卸売業向け営業管理システムの基本設計情報である。学習教材として、また設計支援用のリソースとして活用してほしい。

 先行して公開されている「CONCEPTWARE/財務管理」との関係を説明しておきたい。公開の順序からいえば、いかにも今回公開したシステムが先のシステムと連動可能な形で設計されていると考えてしまいそうだが、じつはそうではない。両者には明らかに機能的に重複している部分がある。具体的には「売上受領管理」と「仕入支払管理」のモジュールだ。

 それらのモジュールをどちらに置くかというのは悩ましい問題だ。なにしろお金を扱う仕事なので、財務管理システム側だけに置かれていればいいともいえる。ただし、売掛・買掛残高は販売管理上の管理項目であるが、回収実績や支払実績が必要である。それならば、財務管理システムから販売システムへそれらの実績情報を渡すようにしておけばよい。

 ところが、今回公開したモデルは、零細~小企業向けの実態に合わせた仕様にもとづいている。そのような事業規模の会社では、こまごました仕訳・決算処理は税理士事務所にまかせてあることが多い。つまり、手元の販売管理システムと連動しやすい形の財務管理システムが存在していない――それを前提とせざるを得ないのであれば、販売管理システムに「売上受領管理」と「仕入支払管理」の機能が必要になる。

 さらに、立派な財務管理システムがあったとしても、売上受領や仕入支払の機能を販売管理システムに配置すべきという考え方もある。財務管理システムに費用の支払や雑収入にともなう入出金を管理するモジュールがあるように、販売管理システムそのものを、売上や仕入にともなう入出金を管理するための、財務管理システム付属のモジュールとして位置づけてみる。これらのモジュールが衛星のように仕訳・決算モジュールを囲んでいるイメージだ。この場合の、販売管理システム以外の部分がたまたま伝統的に「財務管理システム」と呼ばれているだけのこと。そのように考えれば、売上受領や仕入支払を販売管理システム側で完結させることも自然に思えてくる。

 こういうことを考えて、結果的に「大は小を兼ねる」ならぬ「重複は欠落よりマシ」という弱腰な判断基準で、双方に売上受領や仕入支払の機能を置いたわけである。

 これ以外にもいろいろと論点がある。在庫管理の枠組みとして「生産管理・原価管理システムのためのデータモデリング」で紹介した「在庫推移監視方式」を組み込んだ。それは販売管理システムにも簡単に応用できる考え方で、いったんその有効性を理解すれば「将来の在庫推移が見えない在庫管理システムなんてアリ?」という気分になるだろう。他にも、為替レートの確定にともなう在庫金額の洗い替えのしくみなど、調べる価値のある仕様要素がいろいろと盛り込まれている。ツッコミはいつでも大歓迎だ。例によって、叩かれるほどに良くなるホッケの太鼓である。

 さあ、次はいよいよ本丸の「生産管理」である。ワクワクするなあ。

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コメント

こんにちは。また興味深く拝見させて頂きます。
売上受領や仕入支払のシステム帰属の問題、おもしろいですね。
売掛金については、入金された代金の管理は経理部門がするにしても、計上や請求、入金消込みといった機能は営業部門が担っている会社が多いと思います。買掛金・未払金についても実際の支払いは経理部門が行うものの、支払条件や期日の決定は購買部門などが行うケースが多い。両方とも情報システムの区分については、伝統的に経理システムの一部とされていますが、業務の主体はどちらかというと現業部門(経理以外の部門)となっている会社の方が、私が経験した範囲では多いです。経理部門は内部牽制の観点から金の受払いを握っているとみたほうが、実態に即していると思います。なお、欧米では、Account Receivable, Account Payable は、明確に経理部門の機能とされていることが多いので、事情が異なります。

投稿: 杉本 | 2006.10.29 19:50

杉本さん

組織体制上でも経理と現業部門が分業しなければならないのでややこしいですよね。経理事務が税理士等にアウトソースされている場合なんか、会計システムとの連動がややこしくなってつらいものがあります。

投稿: わたなべ | 2006.10.31 08:49

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