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2006.03.26

家計における「資本勘定」とは(前編)

 簿記システムでは、さまざまな取引が「仕訳」として入力され、帳簿組織に集計されるようになっている。仕訳毎の「貸方・借方」の金額が一致していることから、簿記は「貸方・借方」の二元論と思われがちであるが、この理解はまったく不正確である。

 簿記は「貸方・借方」の次元と「BS(貸借対照表)・PL(損益計算書)」の次元とが交差する4象限を基礎とする、「四元論」とも言うべき体系である。それらの象限には以下のような呼び名がある。

   借方  貸方

BS 資産  資本・負債

PL 費用  収益

 というわけで簿記は、「収益」、「費用」、「資産」、「資本・負債」の4つの勘定グループ間の振替を記録したり、振替にもとづく残高(合計額)の変化を捉えるための体系である。

 具体的に見てみよう。たとえば、現金100万円を元手に会社を起業したなら、その時点で次のような取引が認識される。

<仕訳1>
 現金100万円/資本金100万円

 現金は資産科目であり、資本金は資本・負債科目である。ゆえに、この取引を入力すれば、各勘定の残高は次のように変化する。

   <借方>      <貸方>
BS 資産        資本・負債
    現金        資本金
      100万円      100万円
PL 費用        収益
   ―――――――――――――――――――
   合計 100万円  合計 100万円

 さらに、事務所の家賃20万円を現金で払ったとすれば、仕訳の入力とともに、残高構成は次のように変化する。仕訳として現金20万円を右側(貸方)に置いたので、現金(借方勘定)を減少させつつ費用が増えた取引とみなされる。

<仕訳2>
 支払家賃20万円/現金20万円

   <借方>      <貸方>
BS 資産        資本・負債
    現金        資本金
       80万円      100万円
PL 費用        収益
    支払家賃
       20万円
   ―――――――――――――――――――
   合計 100万円  合計 100万円

 50万円の借金をすれば、仕訳と残高は次のようになる。借入金(負債)が50万円増えると同時に、現金(資産)も50万円増える。

<仕訳3>
 現金50万円/借入金50万円

   <借方>      <貸方>
BS 資産        資本・負債
    現金        借入金
      130万円       50万円
               資本金
                  100万円
PL 費用        収益
    支払家賃
       20万円
   ―――――――――――――――――――
   合計 150万円  合計 150万円

 現金で30万円の売上計上がなされたなら、売上は収益勘定なので次のようになる。

<仕訳4>
 現金30万円/売上30万円

   <借方>      <貸方>
BS 資産        資本・負債
    現金        借入金
      160万円       50万円
               資本金
                  100万円
PL 費用        収益
    支払家賃      売上
       20万円       30万円
   ―――――――――――――――――――
   合計 180万円  合計 180万円

 この時点で「決算」してみる。手順は簡単。まず、残高のBS部とPL部を引きはがして、それぞれの合計を眺める。

   <借方>      <貸方>
BS 資産        資本・負債
    現金        借入金
      160万円       50万円
               資本金
                  100万円
   ―――――――――――――――――――
   合計 160万円  合計 150万円

   <借方>      <貸方>
PL 費用        収益
    支払家賃      売上
       20万円        30万円
   ―――――――――――――――――――
   合計  20万円  合計  30万円

 左右の合計額が一致するように意図的に分割したわけではないので、一致が崩れてしまった。次に、この不一致を解消するような調整額を無理やり書き添えてみる。

   <借方>      <貸方>
BS 資産        資本・負債
    現金        借入金
      160万円       50万円
               資本金
                  100万円
              (調整 10万円)
   ―――――――――――――――――――
   合計 160万円  合計 160万円

   <借方>      <貸方>
PL 費用        収益
    支払家賃      売上
       20万円       30万円
   (調整 10万円)
   ―――――――――――――――――――
   合計  30万円  合計 30万円

 これで「決算」は完了。ここに書き込まれた「調整」の形と金額こそが当期の「成績」を表す。この例では「利益が10万円出た」と解釈される。

 同じようなことを企業活動ではなく、「家計」で考えてみる。とくにわかりにくいのが家計における「資本」の位置づけだ。しかし、この点を正しく理解すると、簿記の体系を身近な家計に即して理解できるだけでなく、企業活動の特性も理解できる。(後編に続く)

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