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2006.02.04

「対照勘定」はサブシステムをつなげる接着剤

 前回のエントリーで挙げた仕訳パターンに出てくる「対照勘定」だが、仕訳生成処理で重要な役割を果たすものなので、あらためて説明しておきたい。

 まず、次の2つの仕訳パターンを見てほしい。それぞれ「売上受領データ管理サブシステム」と「現預金データ管理サブシステム」で月次集計された結果にもとづいて生成されるパターンである(※印が対照勘定)。

(1)【売上受領取引(一部)】
借方科目/貸方科目      仕訳額
==============================================
現預金取引※/売掛金  月間売掛回収額(現預金)

(2)【現預金取引(一部)】
借方科目/貸方科目      仕訳額
==============================================
現金/現預金取引※    月間現金入金額
当座預金/現預金取引※ 月間当座預金入金額
普通預金/現預金取引※ 月間普通預金入金額
定期預金/現預金取引※ 月間定期預金入金額

 もしも対照勘定を使わないとしたら、(1)は本来次のように仕訳される。

(3)【売上受領取引(一部)】
借方科目/貸方科目      仕訳額
==============================================
現金/売掛金       月間売掛回収額(現金)
当座預金/売掛金    月間売掛回収額(当座預金)
普通預金/売掛金    月間売掛回収額(普通預金)
定期預金/売掛金    月間売掛回収額(定期預金)

 (1)と(3)を比べたらわかるように、対照勘定を使えば現預金関係の回収額を「月間売掛回収額(現預金)」として一本化できる。使わないと、現金回収額、当座預金回収額、普通預金回収額、定期預金回収額のように細かく保持しなければいけない。

 対照勘定にはここで挙げた「現預金取引」のほかに、「受取手形取引」、「支払手形取引」、「売上仕入相殺」など何種類もある。だから、これらを用いないとしたら、さまざまな取引タイプにしたがって順列組み合わせ方式で管理金額項目が大増殖してしまう。対照勘定は、各サブシステムの仕様を固有の事情にもとづいて「凝集」させるための良い工夫なのである。

 具体的な仕訳例で確認しよう。ある月の現預金での回収状況を集計したら100万円になったとして、その内訳として現金が20万円、当座預金が80万円だったとする。「売上受領データ管理」の月次サマリーで保持されている金額項目は「月間売掛回収額(現預金)」なので、値は100万円。仕訳は次のとおり。

現預金取引 100万円/売掛金 100万円

 いっぽうの「現預金データ管理システム」では、この集計額に対応する仕訳が次のように生成されることになる。

現金    20万円/現預金取引 20万円
当座預金 80万円/現預金取引 80万円
普通預金   0円/現預金取引   0円
定期預金   0円/現預金取引   0円

 これらを合わせると、対照勘定(現預金取引)が相殺されて、あたかも以下の仕訳をしたかのような残高更新が起こるという仕掛けである。つまり対照勘定は、サブシステム毎の仕様を単純化するとともに、それらが生成する取引を矛盾無く統合する役割を果たす。

現金    20万円/売掛金 100万円
当座預金 80万円/
普通預金   0円/
定期預金   0円/

 素朴な疑問として、なぜ異なるサブシステムで生成される対照勘定の仕訳額がきれいに相殺されるのかと不思議に思われるかもしれない。

 難しいことではない。この例で言えば、「売上受領データ管理サブシステム」に含まれる売掛回収を管理するための帳簿(売上受領指示)には、「現預金データ管理サブシステム」に含まれる帳簿(入出金実績)が参照関係で寄り添っている。これらのサブシステムの集計処理にバグでもない限り、両者の金額は必ず一致するのである。

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