« プログラマではなくテスターとして現場デビューする | トップページ | 振込手数料と消費税の仕訳 »

2006.01.14

売掛金と消費税の仕訳

「CONCEPTWARE/財務管理」の改訂版(近日公開予定)に関する話題。初版に関して、近所の飲み友達で辣腕のシステムコンサルタントである杉本氏から、メールで詳細なレポートをいただいた。今回はその中から消費税の扱いに関する筆者の間違いを恥をしのんで紹介したい。読者の業務知識の勉強に役に立てばうれしい。

◆消費税は売上計上と同時に認識される

 一般に財務管理システムでは、営業管理システム(販売管理システム)で保持されている売上情報や請求情報を参照しつつ、回収実績を登録するようになっている。「CONCEPTWARE/財務管理」の初版では、回収の際に消費税額を登録するようになっていた。つまり、ある新規顧客に対して1万円が課税取引として売上計上されたとすると、次のように仕訳される仕様になっていた。

【売上時】
2/25
 売掛金  10,000/売上   10,000

【回収時】
4/15
 現金(等) 10,500/売掛金  10,000
            /仮受消費税   500

 これはアカラサマな間違い。なぜなら、消費税はモノやサービスの消費が成立した時点(つまり売上時や仕入時)でかかる税金だからだ。このことは、売上と回収のタイミングが異なる信用取引を旨とする事業活動においてはしっかり理解されていなければならない(とエラソーに語るマヌケ)。2月25日に1万円が課税取引として売上計上されたなら、その回収がどんなに後まわしになろうと、2月に500円の仮受消費税が売掛に加算される形で計上された事実に変わりはない。正しい仕訳は以下のとおり。

【売上時】
2/25
 売掛金  10,500/売上   10,000
            /仮受消費税   500

【回収時】
4/15
 現金(等) 10,500/売掛金  10,500

 なお、「CONCEPTWARE/財務管理」の改訂版で売上仕訳の元ネタになるのは、月次で集計された「月間課税売上税抜額合計」と「月間消費税額合計」である。集計仕訳方式か個別仕訳方式かにかかわらず、これらは営業システムにおいて別項目として保持されていなければならない。六弦氏のブログにもあるように、月間売上税抜額合計や請求期間合計額に税率を掛けてあらためて計算すると、売上計上時の消費税と僅少ながら差額が生じて話がややこしくなってしまうからだ。

◆回収担当者が考えるべきこと

 さて、上記の回収時の仕訳を見ればわかるように、10,500円の中に消費税がいくら含まれているかは回収時に考慮される必要はない。「財務管理」の初版では受領実績登録のパネルに消費税額の項目が含まれていたが、あれは不要ということだ(改訂版ではよほどスッキリした形になる)。回収担当者は、ひたすら売掛金を減らすことに邁進すればよいのであって、入金額のうちのどれだけが消費税かなんてことは考えなくてよろしい。だいいち、銀行から受け取る入金情報の中にもそんな情報なんて含まれていないのだから、パネルに項目として載っているだけでもハタ迷惑な話だろう。

 回収担当者が考えるべきことはもっと別なところにある。たとえば、覚えの無い会社から入金されたらどうするか(子会社に対する親会社のように、顧客と受領先とが異なる場合であることが多い)。営業担当か受領先に問い合わせて対応する請求を特定しなければいけない。ビジネスモデル特許として有名になった三井住友銀行の「パーフェクト」は、顧客毎に仮想的な振込専用口座番号を与えるサービスで、その番号を記載した請求書を顧客に送れば、入金後に銀行が顧客名付きの入金明細を示してくれる。上記のような不明入金を解消するためのいいアイデアだ。

 売掛金にわずかに足りない分をどう処理すべきかという問題もある。ある顧客が10,500円の請求に対して、バカ正直に10,500円だけを入金して、振込手数料の315円が差し引かれて届いたとする。回収額が十分大きいのであれば、次のように「振込手数料」の費用勘定を用いて売掛金を減らしてしまうことが多い。

【回収時】
2/10
 当座預金  10,185/売掛金  10,500
 振込手数料   315/

 次は、別のズボラな顧客が消費税額を見落として税抜額だけを入金した例。差額を振込手数料とみなして売掛残をクリアしてしまっても間違いではないが、残額もきっちり要求してそれがおっつけで入金されたとすれば次のようになる。

【回収時(1回目)】
2/10
 当座預金 10,000/売掛金  10,000

【回収時(2回目)】
3/10
 当座預金   500/売掛金     500

 しつこいようだが、いずれの回収でも「仮受消費税」の科目が挙がっていない点に注意してほしい。入金差額が消費税額に一致していたとしても、その差額を受け取ったときに仮受消費税の勘定が意識されるわけではない。

 仕訳や勘定科目の話は味気ないものになりがちだが、こんな風なエピソードとして紹介されたら印象にも残りやすいものだ。次回は買掛金と消費税の関係を説明しよう(売掛金の逆ではあるが、完全にシンメトリーというわけでもない)。

|

« プログラマではなくテスターとして現場デビューする | トップページ | 振込手数料と消費税の仕訳 »

コメント

私が聞いた話では、以下のような例がありました。
勘違いしたお客さんが振込手数料を負担している上に振込手数料を上乗せして入金してきたとのこと。

2/10
 現金(等) 10,815/売掛金  10,500
             /預かり金    315

返金するのに手間もお金もかかると現場の担当が嘆いていました(苦笑)

投稿: motomura | 2006.01.16 18:39

イチゲンさんなら前受金とみなすわけにもいかないわけですね。確かに手間もお金もかかっていやだなあ(^^;

投稿: わたなべ | 2006.01.18 06:58

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 売掛金と消費税の仕訳:

« プログラマではなくテスターとして現場デビューする | トップページ | 振込手数料と消費税の仕訳 »