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2006.01.01

プロセス論の時代からコンテンツの時代へ

 XEADで閲覧できる会計システムのサンプルモデル「CONCEPTWARE/財務管理」の改版作業にようやくとりかかった。2005年の8月末に公開したものの、他の仕事で忙殺されて時間がとれなかったためだ。さまざまなフィードバックのおかげで、細かい記述ミスのレベルからサブシステム間の関係まで多岐に渡る修正課題がてんこ盛りである。

 それにしても、あらためてその体系を眺めると、「To-beの考案とAs-isの理解のどっちが先か」とか「データと機能と業務はどういう順序でモデリングするか」といった「手順論」が瑣末な問題に思えてくる(そういう議論、筆者も好きなのだけど)。これだけ複雑膨大なシロモノが相手なのであれば、ナニとナニのどっちを先にやるべきかなんて、「マラソンのスタート時に利き足を先に出すべきか後に出すべきか」くらいの取るに足りない議論に思えてくる。

 ようするに、順序はさておき「To-beの考案」と「As-isの理解」を怠らなければいい。順序はさておき「データのあり方」と「機能のあり方」と「業務のあり方」とを確実にモデリングして、それらをしっかり突き合わせて発展させることを怠らなければいい。書籍やセミナーなどで初心者向けに設計手法を示す場合には、シリアライズして作業手順を示さねばならない。しかし、「CONCEPTWARE/財務管理」の設計をはじめとして実際の案件では、複数の視点での検討が設計者の頭の中では「微妙に同時進行している」のが実態だ。とどのつまり、設計方法論の本質は「プロセス(設計手順)」ではなく、遵守されるべき「フォーマット(設計図の様式)」を明らかにするところにある――そんな気もしてくる。

 筆者が特定の手順にこだわるのもそれなりの根拠があってのことだが、一般にこれまで手順論が強調されてきたのは、学習者が「実際の作品」を鑑賞することが難しかったためでもある。2006年には「CONCEPTWARE」の販売管理編や生産管理編を発表する予定だ。鬼の首を取ったように言うのだが、そういったアクセシビリティの高いコンテンツが充実すればするほど、手順論の影は薄くなる。なにしろ基本的に「作業の順序?好きにやってくれりゃいいよ。とにかく最終的にこんな感じにまとまりゃいいんだからさ」で済んじゃう。五線譜のフォーマットにまとまりさえすれば、作詞と作曲のどちらが先かにこだわる必要がないようなものだ。

 鑑賞に堪える作品が充実すれば、そういう作品を自分でも作ってみたいと考える連中はほうっておいても現れるし、そんな手合いはややこしい手順論を学ぶ前に見よう見まねで作品を作り始めてしまうものだ。何かに向いているというのはそういうことだ。良くも悪くも彼らは、後で「我流を矯正する」のに苦労するほどに、「フライング」を抑えられない。システム設計の世界にもそんなケイソツなヤカラが現れたらいい。そのための契機となれるよう、2006年もレファレンスモデルを充実させてゆきたい。

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コメント

はじめまして。
CONCEPTWARE/財務管理をダウンロードし、拝見しました。
まだ全体像をつかめていませんが、つらつら感じたところを書いてみました。
http://www.nslabs.jp/xead.rhtml
誤解しているところもあるかと思いますが、もし何かの足しになれば幸いです。

投稿: 堀川 | 2006.01.01 21:49

堀川さん

タイミング良いレポートをありがとうございます。さっそく参考にさせていただきます。パッケージ製品毎にもCONCEPTWAREのような形で仕様が公開されてほしいですね。

投稿: わたなべ | 2006.01.02 08:48

新年、明けましておめでとう御座います。
ご無沙汰しております。

私は会計知識がないので詳しいことはサッパリですが、
「パラメータを代入すると、その条件に適合するモデル
を自動で作成してくれる」というツールを作ると面白い
のではないでしょうか。

このようにすれば、管理形式の違いによって適切な
具体例を示すことができますし、さらに発展させれ
は次世代の業務パッケージとなる可能性もあります。

これは業務とシステムの両方に精通している渡辺氏で
なければ不可能な芸当かと・・(汗)

突然ですが、お邪魔しました。

投稿: 後町(gocho) | 2006.01.04 21:16

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» [tech]開発プロセス [yojikの日記]
というわけで技術ネタ書籍やセミナーなどで初心者向けに設計手法を示す場合には、シリアライズして作業手順を示さねばならない。しかし、「CONCEPTWARE/財務管理」の設計をはじめとして実際の案件では、複数の視点での検討が設計者の頭の中では「微妙に同時進行している」のが実態だ。とどのつまり、設計方法論の本質は「プロセス(設計手順)」ではなく、遵守されるべき「フォーマット(設計図の様式)」を明らかにするところにある――そんな気もしてくる。コンテンツ大事という話には同意するけど、プロセスという言葉の使い方... [続きを読む]

受信: 2006.01.05 00:43

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