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2006.01.29

統一感を取るかわかりやすさを取るか

「CONCEPTWARE/財務管理」の改訂版(1.1.01)を公開した(ダウンロードはここから)。前2回のエントリーで説明したように消費税の計上タイミングの間違いを正した他に、いろいろな部分がよりわかりやすくなっている。その中からテーブル設計まわりの改善箇所を紹介しよう。

 いくつかの月次サマリーテーブルでの勘定科目の位置づけが変わった。たとえば「月次一般支払取引サマリー」は改訂の前後で次のように変わっている。

<改訂前>
KEY 事業所C
KEY 年度
KEY 月序
月間未払販売費計上額
月間未払宣伝広告費計上額
月間未払水道光熱費計上額
月間未払通信費計上額
月間未払消耗品費計上額
月間未払事務用品費計上額
月間未払支払手数料計上額
月間未払外注費計上額
月間未払荷造費計上額
月間未払運賃計上額
月間未払会議費計上額
月間未払販売促進費計上額
月間未払諸会費計上額
月間未払研究開発費計上額
月間未払教育訓練費計上額
月間未払接待費計上額
月間未払福利厚生費計上額
月間未払賃借料計上額
月間未払事務費計上額
月間未払保険料計上額
月間未払旅費交通費計上額
月間未払支払手数料計上額
月間未払租税公課計上額
月間未払消費税計上額
月間未払役員退職金計上額
月間未払雑損失計上額
月間未払事故損失計上額
月間未払損害賠償金計上額
月間未払一般資産取引計上額
月間未払調達資金取引計上額
月間未払金支払額
月間未払消費税支払額
月間未払金振込手数料
月間仮払金支払額
月間仮払金充当額
月間課税未払金計上額
月間仮払消費税額
月末未払金残高
月末仮払金残高

<改訂後>
KEY 事業所C
KEY 年度
KEY 月序
月間販管費支払指示額(税抜)
月間販管費支払指示消費税額
月間販管費支払額(現金)
月間営業外費用支払指示額(税抜)
月間営業外費用支払指示消費税額
月間営業外費用支払額(現金)
月間特別損失支払指示額(税抜)
月間特別損失支払指示消費税額
月間特別損失支払額(現金)
月間法人税等支払指示額
月間法人税等支払額(現金)
月間一般資産支払指示額(税抜)
月間一般資産支払指示消費税額
月間一般資産支払額(現金)
月間調達資金支払指示額(税抜)
月間調達資金支払指示消費税額
月間調達資金取引支払額(現金)
月間振込手数料(税抜)
月間振込手数料消費税額
月末未払金残高

 改訂前では科目毎に集計値が並べてあったのが、「販管費」、「営業外費用」といった「勘定グループ」と呼ばれる単位での集計に変わっている。このデータを眺めれば、サブシステムにおける年月毎の取引状況を効果的に把握できる。

 ところが月次サマリーがこのようになっていると、仕訳を生成できない。勘定グループは勘定科目のグループであって、仕訳の単位ではないからだ。

 じつはこの月次サマリーの「子」として次のような「月次一般支払科目サマリー」というテーブルがあらたに追加されている。特定の事業コード+年度+月序で、支払科目コードの異なる複数レコードが読み込まれて、それらのまとまりが仕訳の単位になる。

KEY 事業所C
KEY 年度
KEY 月序
KEY 支払科目C
月間支払指示額(税抜)
月間支払指示消費税額
月間支払額(現金)
月間振込手数料(税抜)
月間振込手数料消費税額
月末未払金残高

 もう少し具体的に説明すると、上記テーブルの1件あたりで次のような仕訳のセグメントが生成されるということだ。このセグメントがユーザによって定義されている支払科目コードの数だけ生成され、一般支払データ管理のサブシステムでの仕訳のひとまとまりを構成する。(※は全仕訳中で貸借が一致して残高がゼロになる対照勘定)

借方科目/貸方科目      仕訳額
(支払科目C)/未払金    月間支払指示額(税抜)
仮払消費税/未払金      月間支払指示消費税額
未払金/現預金取引※    月間支払額(現金)
振込手数料/現預金取引※ 月間振込手数料(税抜)
仮払消費税/現預金取引※ 月間振込手数料消費税額

 こうして改訂前後のテーブルレイアウトを並べると、改訂前がいわゆる「第一正規化違反」っぽく見える。なぜそのように設計したかというと、全体の仕訳生成のスタイルを揃えたかったからだ。

 売上受領データ管理や人件費データ管理では、改訂後であっても科目毎の集計値が横並びになっている。それは、これらのサブシステムでは、扱われる科目のバリエーションが少ないためだ。

 ところが、「一般支払データ管理」等で扱われる科目は多彩だ。改訂前では経費科目を、販売費、宣伝広告費、水道光熱費等、30ほど用意してあった。たいていの会社ではそれらで足りるだろうが、さすがに月次サマリーテーブルの見た目も仕訳生成処理の仕様もごちゃごちゃして見える。

 いろいろ悩んで、サブシステム毎での仕訳生成のスタイルの統一感をあきらめて、いくつかのサブシステムでは科目を識別子に含めてしまう「縦持ち型」にした。固定で横持ちされている科目の数が足りるかどうかの心配は要らない。必要ならばユーザが科目を自由に追加できる。調べてもらえばわかるように、なによりも仕訳生成の仕様がわかりやすくなったのが喜ばしい。

 「統一感」と「わかりやすさ」のどっちを重要視するかを考えているうちに、当初は前者だったものが、改訂後は後者に切り替わったという話だ。システム設計というのは、ただ要求された機能を満たせばよいというものではなく、両立しにくい審美観や要件のせめぎあいの中で悩み倒さねば完遂できない仕事である。この修正事案はそんな例の典型だ。

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