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2005.08.20

「CONCEPTWARE/財務管理」は無償で公開

XEADで閲覧・編集可能な会計システムのレファレンスモデル「CONCEPTWARE/財務管理」を無償公開する予定だ。後続の「販売管理」や「生産管理」なども含めてすべてというわけではないが、「財務管理」に関しては無償公開する。これにはいくつか理由がある。

まず、会計システムに詳しい人たちから間違いを指摘して欲しいからだ。テーブル数80、サブシステム数17というけっこうな規模なので、まだいろいろなミスや無理が残っていると思う。また、エラソーに語るわりに筆者は会計の専門家ではないので、基本的なレベルのこっ恥ずかしい間違いもあるかもしれない。それらをどんどんつぶして改善したい。

何よりも、アーキテクチャに関して会計の専門家から意見を聞いてみたい。ほとんどの会計システムでは個々の取引毎に仕訳を起こすスタイルをとっている。ところが今回のモデルでは、各サブシステム毎に集計される月次の取引サマリー情報から仕訳を起こすスタイルをとっている(前者を「個別仕訳方式」、後者を「集計仕訳方式」と呼んでおく)。以前の記事でも書いたように、この方式は従来型の会計システムへの筆者なりのアンチテーゼで、かなり独特ではある。だから、理論家や実務家から広く意見を聞きたい。

独特とはいっても、企業会計を学ぶ教材として使うには何ら支障はない。むしろ、集計仕訳方式にしたことで、日常処理から仕訳処理への流れがよく見えるようになった。わかりやすくまとめられた会計システムの基本設計情報は、アプリケーションエンジニアに基本的かつ実践的な知識をもたらす「教材」としての側面をもつ。「実装独立な設計」に懐疑的な技術者も、会計を学ぶための教材と割り切ってどんどん活用してほしい。

そもそも、データモデルだけでなく、機能モデルや業務モデルまでが統合されているレファレンスはこれまでなかったものだ。こういうシロモノがあることを、とりあえず多くの人々に知ってほしい。筆者も予想できなかったような活用方法を指摘してもらったらうれしいし、無償化してどんな動きが起こるかを観察したい気持ちもある。オープンソース的なモデルとして発展しても面白そうだ。

「CONCEPTWARE/財務管理」を無償公開することは、直接会う人にはだいぶ前から口頭で伝えていたのだが、「XEADは無償なんだから、有償にしていっぱい稼げばいいじゃないですか。もったいないなあ」とあきれられる。心配ない。お金以外の価値が、有償では実現できないほどの速度で返って来るのは確実だからだ。

じっさい、今年2月に無償公開したXEADについては、バグや改善提案や活用事例をはじめとしてさまざまなフィードバックを得られた。そのおかげで、当初の予想以上の速度で改善された。ありがたいことだ。

企業システムのレファレンスモデルであっても、無償公開すればより多くのフィードバックを期待できる。まあ、なにしろ財務管理あたりは非常に専門的なので、ごく少ないフィードバックしか得られないかもしれない。けれど、「ワクワク感が大きい」からこれでいいんである。近日公開。乞うご期待。

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コメント

いよいよ公開ですね。おめでとうございます!

投稿: Yuumi | 2005.08.20 10:07

おめでとうございます。無償公開とは素晴らしいですね。こういったリファレンスモデルが手近にあると、企業システム設計という「知識の砂漠」みたいな領域にも緑の芽が育ちそうな気がします。ワクワク。
それに渡辺さんの「集計仕訳方式」は、従来の会計システムの発想の盲点をうまく突いていると思います。実務に移す上では制度会計と管理会計のしがらみにどう整理をつけるか、難しい問題もあるでしょうが、リファレンスモデルをもとにこうした問題がひとつひとつ議論の俎上にのって解決されていく、という道筋ができればすてきですね。

投稿: 杉本 | 2005.08.20 13:33

「個別仕訳方式」と「集計仕訳方式」に関してですが、私は理論家でも専門家でもありませんがコメントします。
昔(15年以上前)、私はあるユーザ企業の情報システム部門にいたのですが、そのとき全社システムの全面再構築がありました。
この新システムプロジェクトでは企画部門からここで言う「集計仕訳方式」が提案されていました。
企画部門の説明では、「他社でもやっているやり方」とのことでした。
個別の取引明細を内訳として速やかに提示することが可能であるならば、「個別仕訳方式」である必要性はないということでした。
しかし、経理部門より「会計観念上」個別仕訳方式でなければならないという意見があり最終的に「個別仕訳方式」になりました。
それ以来、あまり会計システムには関与していないのですが個別仕訳方式しか例がなかったように思います。

投稿: motomura | 2005.08.23 10:41

本村さん

面白い経験でしたね。他社での実績があるのなら「会計観念上」という理由で却下されるって変な感じです。「個別仕訳方式」において経理部門は、社内の全取引を明細レベルで掌握しているという変なプライドを持ちやすいとは言えませんかね。

投稿: わたなべ | 2005.08.26 08:40

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うーむ、そんなフレーズが頭をよぎるのであった。 請求、入金があって、それをつなぐ形で消込がある形は、販売システムで閉じた場合は運用を単純化する意味でも有効だと思います。直感的だし。 ただし、仕訳まで視野に入れると割りとややこしい。いやかなりややこしい。 請求と云うか売上に関しては当然こうです。 で、入金に関しては、前にも書いたけど、全部仮受金で受けちゃおうぜ方式を取ったんだった。 で、消し込むんだ後、振替仕訳を作る。 で、残としては100円あまってるから、それは過入金って形。きっちりやる... [続きを読む]

受信: 2005.08.31 14:48

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